今回は否定の慣用表現についてまとめました。否定の慣用表現には否定語を用いるものだけでなく、否定語を用いないものもあります。
cannot help ~ing 、nothing but、There is no ~ing など否定語を用いた慣用表現、 far from、free from、beyond など否定語を用いない慣用表現の例文や訳し方を確認していきます。
否定の慣用表現を覚えられたかチェックしたい人のために、確認問題も作りました。よかったら学習に役立ててください。
否定語を用いる慣用表現と例文
否定語である no, not, never, but などを用いる慣用表現の例文と訳し方を学習します。
cannot help ~ing/cannot but
【cannot help doing/cannot but do】の形で、「~せざるをえない、思わず~してしまう」の意味になります。
cannot help の後は動名詞、cannot but の後は動詞の原形であるところに気をつけてください。(cannotはcan’tでも、時制に応じてcouldn’t を使って良いです。)
※ ただし cannot help doing( cannot help +名詞+doing) は「(…) が~することをどうしようもできない」の意味も表します。
例文
・I can’t help laughing at his joke.(彼のジョークに思わず笑ってしまう。)
= I can’t help but laugh at his joke.
・He couldn’t help crying.(彼は泣かずにはいられなかった。)
= He couldn’t help but cry.
not in the least
【not in the least】で「少しも~ない、全く~ない」の意味を表します。not at all とほぼ同じ意味になります。
例文
・I’m not in the least surprised.(私は少しも驚いていない。)
・This book isn’t in the least interesting.(この本はちっともおもしろくない。)
never fail to do
【never fail to do】で「必ず~する」の意味になります。
例文
・I never fail to give a birthday present to my mother.(私は必ず母親に誕生日プレゼントを贈ります。)
・She never fails to call me.(彼女は必ず私に電話する。)
by no means
【by no means】で「決して~ない」と訳します。never とほぼ同じ意味になります。means は手段という意味があります。手段がないので、「決して~ない」という意味になったと考えられます。
例文
・It is by no means easy to persuade them.(彼らを説得することは決して簡単ではありません。)
・The system was by no means perfect.(そのシステムは決して完璧ではなかった。)
nothing but
【nothing but ~】で「~だけ、~に過ぎない」という意味になります(only とほぼ同じ意味)。but は~以外という意味があるので、「~以外何もない → ~だけ」という意味になったと考えられます。
例文
・I could hear nothing but the rain.(雨の音しか聞こえませんでした。)
・I’m nothing but a loser.(僕はただの負け犬さ。)
anything but
【anything but ~】で「決して~ではない、~どころではない」の意味になります。never や上で出た by no means 、後で説明する far from などとほぼ同じ意味になります。
また「~以外なら何でも」の意味もあり、not ~ anything but …でnothing but 「~だけ」の意味と同様の意味になります。
例文
・He is anything but a fool.(彼は決して愚か者ではない。)
・I can’t understand anything but Japanese.(私は日本語しか理解できません。)
= I can understand nothing but Japanese.
not ~ until …
【not ~ until …】で「…して初めて~する」の意味になります。until が「…するまで」という意味なので、「…するまで~しない」から「…して初めて~する」の意味になったと考えられます。
例文
・We don’t realize the importance of our health until we lose it.(私たちは自分たちの健康を失って初めて、その重大さを実感する。)
= It is not until we lose our health that we realize the importance of it.【強調構文】
no longer(not ~ any longer)
【no longer】で「もはや~でない」の意味になります。【not ~ any longer】で書き換えられます。「これ以上長くは全く~ない」という意味から「今はもうそうではない、もはやそうではない」という意味になったと考えられます。
例文
・He is no longer a child.(彼はもはや子どもではありません。)
= He is not a child any longer.
・We no longer have time.(私たちにはもはや時間がありません。)
・I can no longer wait for her.(私はもはや彼女を待てない。)
there is no ~ing
【There is no doing】で「~することはできない」の意味になります。It is impossible to do などで書き換えが可能です。
例文
・There is no telling exactly what will happen in the future.(将来起こることを正確には言えない。)
関連記事:高校英語【否定の表現】全否定と部分否定
there is no way
【There is no way~】で「~なんてありえない」の意味になります。
例文
・There is no way she likes you.(彼女が君を好きだなんてありえないよ。)
No way だけでも「まさか」「ありえない」というときに使われます。
否定語を用いない否定の慣用表現と例文
否定語を用いない否定の慣用表現の例文や訳し方について確認します。
far from
【far from~】で「~どころではない、決して~ではない」の意味になります。far には「離れて、遠い」の意味があるので、far from で「~から遠い → ~どころではない」の意味になると考えられます。by no means、anything but などと書き換え可能です。
例文
・I am far from rich.(私はお金持ちどころではない。)
・He is far from being honest.(彼は決して正直ではない。)
free from
【free from ~】で「~がない」の意味になります。free は「解放された」という意味があるので、free from ~で「~から解放されている → ~がない」という意味になったと考えられます。そのためふつう「~」の部分には良くない内容が入ります。
例文
・He is free from care.(彼は悩み事がない。)
・Nobody is free from faults.(欠点のない人などいない。)
beyond
【beyond~】は「~できない」という意味でも使われます。beyondには「~を超えて」という意味がありますが、「~を超えている → ~できない」という意味にもなると考えられます。
例文
・The story was beyond our comprehension.(そのストーリーは我々が理解できないものだった。)
・She was shocked beyond belief.(彼女は信じられないほどショックを受けた。)
【問題編】高校英語 否定の慣用表現
問1 次の日本語の文に合うように、( )内に適切な英語を入れなさい。
(1) 彼は泣かずにはいられなかった。
He( )help( ).
(2) 私は少しも驚いていない。
I’m not in( )( )surprised.
(3) 私は必ず母親に誕生日プレゼントを贈ります。
I never( )( )give a birthday present to my mother.
(4) そのシステムは決して完璧ではなかった。
The system was by( )( )perfect.
(5) 雨の音しか聞こえませんでした。
I could hear( )( )the rain.
(6) 彼は決して愚か者ではない。
He is( )but a fool.
(7) 私たちは自分たちの健康を失って初めて、その重大さを実感する。
We don’t realize the importance of our health( )we lose it.
(8) 彼は決して正直ではない。
He is( )from being honest.
(9) 彼は悩み事がない。
He is( )from care.
(10) その話は我々が理解できないものだった。
The story was( )our comprehension.
(11) 彼はもはや子どもではありません。
He is( )( )a child.
(12) 私はもはや彼女を待てない。
I( )( )( )wait for her.
(13) 彼女が君を好きだなんてありえないよ。
There is( )( )she likes you.
問2 次の英文と同じ意味になるように、( )内に適切な英語を入れなさい。
(1) I can’t help laughing at his joke.
= I can’t help( )( )at his joke.
(2) The system was by no means perfect.
= The system was anything( )perfect.
= The system was far( )perfect.
(3) It is impossible to tell exactly what will happen in the future.
= There is( )( )exactly what will happen in the future.
(4) He is only a child.
= He is( )( )a child.
(5) We no longer have time.
= We don’t have time( )( ).
まとめ
否定語を使う慣用表現、否定語を使わない否定の慣用表現について確認してきました。否定語を使っていても否定の意味にならない表現もあるので注意しましょう。
否定の慣用表現一覧
否定語を用いる慣用表現
(肯定的な意味)
・cannot help doing/cannot but do「~せざるをえない、思わず~してしまう」
・never fail to do「必ず~する」
・nothing but(=only)「~だけ」
・not ~ until …「…して初めて~する」
(否定の強調など)
・by no means=anything but 「決して~ない」
・not in the least(=not at all)「少しも~ない、全く~ない」
・no longer=not ~ any longer「もはや~でない」
・There is no doing「~することはできない」
・There is no way「~なんてありえない」
否定語を用いない否定の慣用表現
・far from~(=by no means, anything but)「~どころではない、決して~ではない」
・free from ~「~がない」
・beyond~「~できない」
他にもいろいろな否定の慣用表現がありますが、まずは上にあげた慣用表現を覚えておきましょう。