関係代名詞の非制限用法は先行詞を補足的に説明するもので、関係代名詞の前にカンマ(,)がつくのが特徴です。関係代名詞の制限用法と非制限用法の違い、関係代名詞(which, who, whom, whose)の非制限用法の訳し方・使い方について学習、問題で基本を理解できたか確認してみましょう。
関係代名詞の非制限用法とは
関係代名詞には先行詞を限定する制限用法と、限定しない非制限用法があります。
制限用法と非制限用法の違い
制限用法と非制限用法には以下のような違いがあります。
・非制限用法では関係代名詞の前にカンマを入れる(制限用法はカンマがない)
・関係代名詞の制限用法は先行詞を限定するが、非制限用法は補足的
・関係代名詞 which の非制限用法では、名詞または文全体を補足(制限用法では文全体を補足しない)
・非制限用法では先行詞が固有名詞のときも使える(制限用法ではふつう使われない)
・that や what は非制限用法で使えない
・省略は不可能
非制限用法はカンマがある
関係代名詞が制限用法か非制限用法かを見分けるには、関係代名詞の直前にカンマがあるかないかですぐにわかります。
・He has a daughter who is a professional pianist.(制限用法)
・He has a daughter, who is a professional pianist.(「,」 があるから非制限用法)
非制限用法の訳し方
制限用法では先行詞を限定して説明しますが、非制限用法では先行詞を補足的に説明します。文脈によってand, but, because などを補って訳します。
・He has a daughter who is a professional pianist.(彼はプロのピアニストである娘が一人います。)
・He has a daughter, who is a professional pianist.(彼には娘が一人いて、プロのピアニストをしている。)
=He has a daughter, and she is a professional pianist.
上の文(制限用法)ではプロのピアニストの娘がいるので、他にも娘がいることが予想されます。しかし下の文(非制限用法)では「娘は一人」であり、さらにその娘はプロのピアニストだと補足しています。
非制限用法は文全体を補足する
関係代名詞 which の非制限用法では前の文全体を補足することがあります。and it や but it などを補って訳すことができます。
・I got a perfect score on the test, which made me happy.(私はテストで100点を取った。そのことは私をうれしくさせた。)
=I got a perfect score on the test, and it made me happy.
固有名詞が先行詞のときもOK
先行詞が固有名詞のときふつう制限用法は使えませんが、非制限用法では使われることがあります。(下の文では固有名詞のMikeが先行詞)
・I want to work with Mike, who is competent as an engineer.(私はマイクと働きたい、なぜなら彼はエンジニアとして優秀だからだ。)
非制限用法 その他の注意点
関係代名詞 that は制限用法ではさまざまな先行詞に使われますが、非制限用法では使えません。whatも非制限用法で使えません。
また非制限用法では目的格でも関係代名詞を省略することができません。
関係代名詞の非制限用法 訳し方と例文
関係代名詞の非制限用法は、which, who, whom, whose で使われます。(that や what は非制限用法では使えません。)
関係代名詞 which, who, whom, whose を使った非制限用の例文を見てみましょう。
関係代名詞 which の非制限用法
関係代名詞 which を使った非制限用法の例文を見てみましょう。
・I went to the concert, which was excellent .(私はそのコンサートに行った、それは素晴らしかったよ。)
・He said he was a pilot, which was a lie.(彼は自分はパイロットだと言っていましたが、それは嘘でした。)
・She left Japan for New York, which nobody knows.(彼女は日本を出発しニューヨークへ向かった。そのことは誰も知らない。)
関係代名詞 who の非制限用法
関係代名詞 who を使った非制限用法の例文を見てみましょう。
・He has a daughter, who is a professional pianist.(彼には娘が一人いて、プロのピアニストをしている。)
・My son, who lives in New York, works as an investment banker.(私の息子はニューヨークに住んでいるが、投資銀行家として働いている。)
関係代名詞 whom の非制限用法
関係代名詞 whom を使った非制限用法の例文を見てみましょう。
・George is going to marry Reina, whom I don’t know very much. (ジョージはレイナと結婚予定だが、私は彼女のことをよく知らない。)
・She has three sons, all of whom are students.(彼女は3人の息子がいて、みんな学生です。)
関係代名詞 whose の非制限用法
関係代名詞 whose を使った非制限用法の例文を見てみましょう。
・The old house, whose window was broken, looks spooky.(その古い家は窓が割られていて、お化けが出そうで怖い。)
・Cindy, whose husband is an famous actor, lives in Los Angeles.(シンディは夫が有名な俳優で、ロスに住んでいる。)
【問題編】関係代名詞の非制限用法
問1 次の英文を訳しなさい。
(1) He has a son, who is studying abroad.
(2) He said he was a pilot, which was a lie.
(3) I won the first prize in the contest, which made my mother happy.
(4) Mike has two cars, both of which are made in Japan.
問2 次の文の意味が同じになるように、( )内に適切な関係代名詞を入れなさい。
(1) I got a perfect score on the test, and it made me happy.
= I got a perfect score on the test, ( )made me happy.
(2) She has three sons, and all of them are students.
= She has three sons, all of ( ) are students.
まとめ
関係代名詞の制限用法と非制限用法の違い、非制限用法の訳し方について学習してきました。
関係代名詞の非制限用法では関係代名詞の直前に「,」が入り、先行詞の名詞(あるいは文全体)を補足的に訳し、固有名詞が先行詞のときにも使えるのが特徴です。「補足的に訳す」のがよくわからないときはまず「and」を補って訳してみて、不自然なら but か because を補って訳すと良いでしょう。
なお関係代名詞の that や what は非制限用法では使えず、非制限用法では関係代名詞を省略できないことに注意してください。