高校英語で学習する仮定法にはいろいろな表現があります。
if~を使う基本の仮定法から、I wish ~ 、倒置、主語や前置詞、接続詞、副詞(句)、不定詞、分詞構文を使う仮定法の公式、意味、例文を、仮定法の総復習をしたい人のためにまとめました。
一通り理解できたら仮定法の問題にもチャレンジしてみましょう。
仮定法とは
英語には直説法、仮定法、命令法があります。一般的な肯定文、否定文、疑問文は直接法になり、ifなどを用いて「実際にはありえないこと」が起こったときの仮定を述べるのが仮定法です。命令法は命令や禁止、希望、依頼などを表すものです。
紛らわしいのがifを用いた単なる条件の文(直説法)と高校英語で習うifを用いた仮定法です。
同じifの文でも…
・If it is rainy tomorrow, I will not go out.(明日雨が降るなら、外出しないだろう。)
→ 明日雨が降るのはあり得ることだから直説法
・If I were rich, I would buy a castle.(僕がお金持ちなら、城を買うのになあ。)
→ 僕がお金持ちになるのはあり得ない、事実に反することだから仮定法
上の文で直説法は現在形、仮定法は過去形が使われていますが、条件節では未来のことも現在形を用いること、仮定法では現在のことは過去形、過去のことは過去完了形が用いられることにも注意しましょう。
また仮定法過去ではbe動詞は主語にかかわらずwereになります。
英語の過去形は単に過去のできごとを表すだけでなく、現実と離れていること、丁寧・婉曲を表すときにも使われます。
仮定法の公式・意味・例文
仮定法のさまざまな表現を使った例文を見てみましょう。if 節を使う以外にもさまざまな仮定法があります。
if節のある仮定法過去・過去完了
【仮定法過去の公式】
If+主語+過去形, 主語+助動詞過去形(would,couldなど)+動詞の原形~
(意味)もし…なら~するのに
【仮定法過去完了の公式】
If+主語+過去完了形, 主語+助動詞過去形(would,couldなど)+have+過去分詞~
(意味)もし…だったら~するのに
仮定法では、現在の事実に反する仮定を述べるときは仮定法過去、過去の事実に反するときは仮定法過去完了を使います。
【例文】
・If I were rich, I could buy you anything you want.
(私がもしお金持ちなら、あなたの欲しいものをなんでも買ってあげられるのに。)
・If I had got up early, I would have had breakfast.
(早起きしていれば、朝食を食べてきたのですが。)
I wish + 仮定法過去・過去完了
【I wish + 仮定法の公式】
・I wish+主語+過去形 ~
(意味)~ならいいのに
・I wish+主語+過去完了形 ~
(意味)~したらよかったのに
「I wish + 仮定法過去」で実現していない願望、「I wish + 仮定法過去完了」で実現しなかった願望の仮定法を表します。
【例文】
・I wish she were my princess.(彼女が僕のプリンセスならいいのに。)
・I wish I had gone to the party.(パーティーに行けば良かったなあ。)
if only + 仮定法過去・過去完了
【If only + 仮定法の公式】
・If only+主語+過去形 ~!
(意味)~さえすればいいのに
・If only +主語+過去完了形 ~!
(意味)~さえすればよかったのに
「I wish + 仮定法」より強い願望を表します。( ! で終わります。)
【例文】
・If only she were my princess!(僕も背さえ高ければ良かったのになあ。)
・If only I had gone to the party!(パーティーに行ってさえいれば良かったなあ。)
関連記事:高校英語 願望の仮定法 解説と問題
If it were not for~
【If it 仮定法 not for ~の公式】
・If it were not for ~, 主語+助動詞過去形+動詞の原形 ・・・
(意味)~がなければ・・・だろう
・If it had not been for ~, 主語+助動詞過去形(would,couldなど)+have+過去分詞~
(意味)~がなかったら・・・だったろう
「~がなければ/なかったら」といいたいときは、「if it were not/had not been for~ 」で表すことができます。
【例文】
・If it were not for dance, my life would be boring.
(ダンスがなければ、私の人生はつまらないものだろう。)
・If it had not been for your help, I couldn’t have finished my report.
(君の助けがなかったら、私はレポートを終えられなかっただろう。)
倒置の仮定法
【倒置の仮定法 公式】
・過去形+主語+ ~, …
(意味)もし…なら~するのに
・Had+主語+過去分詞 ~, …
(意味)もし…だったら~するのに
倒置を用いることでifを使わなくても仮定法を作ることができます。助動詞の過去形が先頭に来ることもあります。
【例文】
・Were I rich, I could buy you anything you want.
(僕がお金持ちなら、君の欲しいものを何でも買ってあげるのに。)
・Should you need any further information, please feel free to contact us.
(万一さらに情報がご必要でしたら、お気軽にお知らせください。)
・Had I got up early, I could have caught the train.
(早起きすれば、列車に間に合っただろうに。)
・Were it not for dance, my life would be boring.
(ダンスがなければ、私の人生はつまらないものだろう。)
・Had it not been for your help, I couldn’t have finished my report.
(君の助けがなかったら、私はレポートを終えられなかっただろう。)
※ if 主語+should~で「万一~なら」の意味になります。(shouldを使う仮定法については、後で紹介します)
if 節のない仮定法
上で紹介したI wish, 倒置以外にも、ifを用いない仮定法はいろいろあります。
一見仮定法であるかどうかわかりにくいですが、助動詞の過去形が使われていることから、仮定法と判断できます。
【主語が仮定】
・A wise man wouldn’t go to such a dangerous place.
(賢い男ならそんな危険な場所には行かないだろう。)
【前置詞が仮定】
・Without (= But for) his advice, the project would have not succeed.
(彼の助言がなかったら、そのプロジェクトは成功しなかったろう。)
【接続詞が仮定】
・Supposing you had 100 million yen, what would you buy?
(もし1億円持っているとしたら、あなたは何を買いますか。)
【副詞が仮定】
・I left home early in the morning; otherwise I would have been late.
(私は朝早く家を出発した。さもなければ、遅刻しただろう。)
【副詞句が仮定】A forty years ago, we could not have imagined collapse of the country.(40年前だったら、我々はその国の崩壊を想像できなかったろう。)
【不定詞が仮定】
・To hear him speak English, you would take him for a native.
(彼が英語を話すのを聞いたら、あなたは彼をネイティブだと思うだろう。)
【分詞構文が仮定】
・Born in better times, he would have become a famous singer.
(もっと良い時代に生まれていたら、彼は有名な歌手になっただろうに。)
as if + 仮定法
【as if/as though 仮定法の公式】
・ as if/as though +主語+過去形
(意味)まるで~のように
・ as if/as though +主語+had 過去分詞
(意味)まるで~だったように
「as if(または as though)+ 仮定法」で、「まるで(あたかも)~のように」の意味になります。
【例文】
・He behaved as if (=as though) he were a rich man.(彼はお金持ちのようにふるまった。)
・She acted as if (=as though) nothing had happened.(彼女は何もなかったようなふりをした。)
it is time + 仮定法
【It’s time+仮定法の公式】
・It’s time 主語 +過去~
(意味)もう~する時間です
・It’s about time 主語 +過去~
(意味)そろそろ~する時間です
・It’s high time 主語 +過去~
(意味)もうとっくに~する時間です
It’s time+仮定法で、「もう~する時間です」の意味になります。
【例文】
・It’s time you went to school.(もう学校に行く時間よ。)
・It’s about time we had a break.(そろそろ休憩の時間です。)
・It’s high time you went home.(もうとっくに帰る時間だろう。)
仮定法未来(should/were to)
【仮定法未来の公式】
If+主語+should+動詞の原形, [主語+助動詞過去形(would,couldなど)+動詞の原形・・・]
(意味)万一~なら・・・(※ ・・・の部分に直説法、命令法も使われます。)
If+主語+were to+動詞の原形, 主語+助動詞過去形(would,couldなど)+動詞の原形・・・
(意味)仮に~としたら・・・
shouldを使うと天候や不慮の事態など、主語の意志と無関係に未来の可能性が少ないことを表し、were toを用いるとさらに可能性が少なく、ありえない状況の仮定を表します。
【例文】
・If you should have fever, go see a doctor.(万一熱があるようなら、医者に診てもらいな。)
・If it should rain tomorrow, what would you do?(万一明日雨になったら、どうするの。)
・If it should rain tomorrow, what will you do?(万一明日雨になったら、どうするの。)
・If it were to rain tomorrow, what would you do?(仮に明日雨になったとしたら、どうするの。)
・If I were to be reborn, I would like to be a movie star.(仮に生まれ変わるとしたら、映画スターになりたい。)
上の例文をもとに問題を作りましたので、チャレンジしてみましょう。
【問題編】仮定法の総復習
問 次の日本文に合うように、( )内に適切な英語を入れましょう。(答えは▶をクリック)
(1) 私がもしお金持ちなら、あなたの欲しいものをなんでも買ってあげられるのに。
If I ( ) rich, I ( )buy you anything you want.
(2) パーティーに行けば良かったなあ。
I ( ) I ( )( ) to the party.
(3) 仮に生まれ変わるとしたら、映画スターになりたい。
If I( )( )be reborn, I( )like to be a movie star.
(4) 賢い男ならそんな危険な場所には行かないだろう。
A wise man ( ) ( ) to such a dangerous place.
(5) 40年前だったら、我々はその国の崩壊を想像できなかったろう。
A forty years ago, we ( ) ( ) ( ) ( ) collapse of the country.
(6) 彼が英語を話すのを聞いたら、あなたは彼をネイティブだと思うだろう。
( )hear him speak English, you ( ) take him for a native.
(7) もっと良い時代に生まれていたら、彼は有名な歌手になっただろうに。
( ) in( )( ), he would have become a famous singer.
(8) 私は朝早く家を出発した。さもなければ、遅刻しただろう。
I left home early in the morning; ( ) I ( )( )( ) late.
(9) 彼はお金持ちのようにふるまった。
He behaved ( )( )he ( ) a rich man.
(10) そろそろ休憩の時間です。
It’s ( )( ) we ( )a break.
(11) 万一熱があるようなら、医者に診てもらいな。
If you ( ) have fever, go see a doctor.
(12) 仮に明日雨になったとしたら、どうするの。
If it ( )( ) rain tomorrow, what would you do?
問2 ほぼ同じ意味になるように、( )内に適切な英語を入れなさい。
(1) If I had got up early, I would have had breakfast.
=( )( )( )up early, I would have had breakfast.
(2) I wish she were my princess.
=( )( )she were my princess!
(3) If it were not for dance, my life would be boring.
=( )it not for dance, my life would be boring.
=( )dance, my life would be boring.
=( )( )dance, my life would be boring.
まとめ
いかがでしたか?仮定法全般の基本は確認できたでしょうか。
仮定法は if を使うだけでなく、さまざまな表現がありました。いろいろな仮定法の表現を覚えてスムーズに英文を読めるようにし、問題を解けるようにしていきましょう。